くも膜下出血
50歳になったばかりのある日、何の前触れもなしに気を失うほどの激痛に襲われた。とにかく頭が痛い、救急搬送されたが当時のことをあまり覚えていない。
後ほど家族に聞いた話では緊急手術をした後に面会謝絶だったので、僕の身に何が起こったのか知ることができなかった。意識が戻った時には全身を拘束されベッドに横たわっていた。我慢できないほどの頭痛。一体ここは何処?数日後に看護師さんからここは病院のICU集中治療室であなたはくも膜下出血で倒れたのですよ。と教えてもらった。
なるほど、ただ事ではなかったのは理解した。
主治医、看護師さん、家族のおかげで命はつながった。ありがとう。
左半身が動かない、言葉がうまく話せない。僕はこれからは寝たきりなのだろうか?頭痛が酷い、耐えられない痛みだ。
看護師さん:「名前は?今日は何月何日?痛みを10段階で言うと?」
僕:「〇〇です。〇月〇日です。痛みは10」
という毎日だったある日
看護師さん:「2週間で痛みは消えるはずです。」
僕:「信じられない、少しも痛みが和らがないけど」
看護師さん「噓でしょ?と言うくらいに痛みが消える人が多いよ。」
術後2週間経過
僕:「噓でしょ(笑)ホントに楽になりました。ありがとう。」
さあ、社会復帰に向けてリハビリ開始だ。
僕のイメージするリハビリと少し違った。子供頃に受けた知能テストのような事を毎日繰り返した。体が麻痺しているんですけど、これでいいの?正直に先生に聞いてみた。あなたの体は何処も悪くありませんよ。脳が傷ついたんです。
なるほど、納得しました。脳がダメージを受けて麻痺したので、脳のリハビリなんですね。頑張ります!
目標を決めましょう。会社に復帰したいです。頑張りましょう!
約2か月のリハビリで、身体は比較的早い段階で自力で歩く書くは出来るようになった。言葉は思うように話せない状態が続いたが、生活に困らない程度に復活した。必死だった。
自動車免許もクリアして社会復帰だ。
会社には元のポジションに戻してもらったが、時短対応してもらい徐々に体を慣らしていった。
明らかにスペックが落ちているのが辛い。日常生活能力があっても仕事が元通り出来ない。しばらくは大目に見てもらいましょう。
考えていることを文章にすることは時間がかかるが何とかできる。しかし会話することや発言することは難しい。瞬時に言葉に変換することは本当に高度な能力なんだなぁと感じることが出来た。
やはり、発病前のポジションで仕事するには無理がある。これ以上の回復が出来ないようなら、もう少し責任が軽いポジションに降格させてもらおう。そのほうが僕が気が楽だ。楽しく仕事したいから。傷ついた脳にこれ以上負担かけることをやめて、今の僕のスペックにあった仕事を見つけよう。
損傷した脳は復活しないのだから、今のこの体と折り合いをつけて残りの人生を楽しく生きていくことにした。